「広告費をいくらに設定すればいいか、まったくわからない」——地方の店舗オーナーからこの相談を受けることが非常に多いです。この記事では、広告予算を売上目標から逆算して決める手順を先に示したうえで、八策マーケティングが支援するクライアント実績をもとに、月3万・5万・10万・30万・100万円の予算帯ごとにできること・できないこと・見るべき指標を分解します。きれいごとなしで、各帯の限界も一緒に書いています。

店舗集客のWeb広告で月3万・5万・10万円の予算別にできることを比較した表
月3万円・月5万円・月10万円以上で、使える媒体数・テスト可否・CV目安・CPA目安は大きく変わります。予算額だけでなく、CVR・客単価・LTV・LP品質とセットで判断することが重要です。

広告予算は「出せる額」ではなく「回収できる額」から決める

広告予算の相談を受けると、多くの場合「今月は3万円くらいなら出せます」という出発点から話が始まります。しかし、出せる額から決めた予算は、成果が出ているかどうかを判断する基準になりません。3万円使って問い合わせが5件来たとき、それが良いのか悪いのかを答えられないからです。

八策では、1人のお客様が生涯でもたらす利益(LTV)を基準に、1件の獲得にいくらまで使えるかを決めてから、予算に落とし込みます。初回の粗利だけで判断しない理由は単純で、クーポン目当てで一度だけ来店する方をいくら集めても、事業としては積み上がらないからです。初回粗利だけを基準にすると、単発のお客様とリピートしてくださるお客様が同じ評価になってしまいます。

売上目標から広告予算を逆算する4ステップ

順番に埋めていくと、自社の予算額が出ます。

  1. 目標売上 ÷ 平均客単価 = 必要成約数
  2. 必要成約数 ÷ 成約率 = 必要CV数(問い合わせ・予約の件数)
  3. LTVベースの粗利 × 許容獲得コスト比率 = 許容CPA
  4. 必要CV数 × 許容CPA = 月間広告予算

ステップ3が最も判断の分かれるところです。ここで初回の粗利を使うか、LTVを使うかで、出てくる予算額が数倍変わります。リピートが前提の業種であれば、LTVを基準にしないと予算が過小になり、競合に入札で勝てません。

ステップ2の成約率とステップ3のLTVは、広告管理画面には出てきません。自社の受注記録や来店記録から出す数字です。この2つがわからないまま予算だけ決めると、以降の判断がすべて感覚になります。

予算によって「戦える土俵」が変わる

Web広告の予算を考えるとき、「多いほど良い」だけでは判断できません。重要なのは、その予算帯で機械学習・テスト・媒体選択がどこまで回せるかです。

GoogleやMetaの自動入札は、一定のコンバージョン数がないと最適化が働きません。月3万円で広げすぎると、最適化が起動する前に予算が尽きます。予算別の「正しい使い方」を知らないまま始めると、費用だけかかってCVがゼロという状態に陥りやすいのが実態です。

月3万円帯|単一媒体・地域絞り・指名キーワードで守る

この帯でできること

  • 媒体:Google広告1本に絞る
  • 地域:半径5〜10km程度に絞り込み、クリック単価を抑える
  • キーワード:指名(店名・サービス名)+周辺1キーワードで集中運用

現実的な数字感

八策の実績ベースでは、月3万円帯の広告費(代理店手数料は別)で獲得できるコンバージョン(問い合わせ・予約)は月5〜12件程度が多いです。CPA(1件あたりの獲得単価)は2,500〜6,000円前後が現実値です。

この帯の限界

A/Bテストがほぼ回せません。広告クリエイティブを2本用意しても、インプレッションが分散してどちらが効いているか判断できる統計量に達しません。媒体を2つ以上に分散させると、1媒体あたりの学習データが不足し、自動入札が機能しにくくなります。

最初に見るべきポイント:この予算帯でCVが伸び悩む場合、広告よりもLP(ランディングページ)の電話番号・予約ボタンの視認性を先に確認してください。クリックは来ているのに問い合わせがゼロという場合、LPのファーストビューにCTAが見えていないことが多いです。

月5万円帯|Google+Meta併用・A/Bテスト1〜2本が可能になる

この帯でできること

  • 媒体:GoogleとMeta(Instagram/Facebook)を併用できる
  • クリエイティブA/Bテストを1〜2本同時に走らせられる
  • Meta広告で認知〜来店意欲の醸成、Googleで指名・比較検索の取り込みという役割分担が組める

現実的な数字感

八策の実績では、月5万円帯でのCV数は月10〜20件前後になるケースが多いです。ただし業種・地域・LP品質によって大きく変わります。CPAは2,500〜5,000円前後が目安ですが、飲食や美容など競合密度が高い業種では上振れします。

この帯の限界

TikTokやYouTubeといった新媒体のテストには予算が足りません。動画広告を作るクリエイティブコストを出すと、媒体への投下額が削られてしまいます。また、複数商品・複数地域を同時に攻めようとすると予算が分散し、どの施策も中途半端になりがちです。

最初に見るべきポイント:Meta広告を追加しても問い合わせが増えない場合、広告からLPに飛んだあとの離脱率を確認してください。Metaからの流入はGoogleより「比較検討前段階」のユーザーが多く、LPが「価格と手順」しか書いていない構成だと離脱しやすいです。

月10万円帯|本格スケール・新媒体テスト・PDCA高速化

この帯でできること

  • Google+Meta+TikTok等の新媒体テストまで手が届く
  • 広告クリエイティブを複数パターン同時テストし、勝ちパターンを早期に特定できる
  • 媒体ごとに月次予算を調整しながら、成果の出ている媒体に集中投下できる
  • LP複数パターンのテストや、オファー(特典・初回割引)のABテストも組みやすい

現実的な数字感

八策の実績では、月10万円以上の投下でCV数が月20〜40件以上に乗るケースが出始めます。ただし、予算を増やせばCVが比例して増えるわけではありません。広告費を2倍にしてもCVが1.3倍にしかならないことも起こります。入札単価の上昇・クリエイティブ疲弊・LP品質の壁が重なるためです。

この帯の注意点

予算が増えると管理工数も増えます。広告アカウント、LP、CRM(顧客管理)が連携していないと、どの媒体・どの広告が実際の来店・成約に繋がったか追えなくなります。計測設計なしに予算だけ増やすと、「使っているけど効果不明」という状態に陥りやすいです。

月30万円帯|テストの回転が速くなり、多媒体に挑戦できる

この帯でできること

この帯で何ができるかは、その商圏にどれだけのユーザーボリュームがあるかで決まります。地方の単一店舗で検索需要が限られている場合、予算を増やしても表示できる回数の上限に当たります。予算額そのものより、母数があるかを先に確認してください。

母数がある前提でいえば、10万円帯との違いははっきりしています。

  • テストの結論が早く出る:同じテストでも、1パターンあたりに配信量を割けるため、判断に必要なデータが早く貯まります。10万円帯で1か月かかる判断が、より短い期間で下せます
  • Meta広告とGoogle広告のような多媒体への挑戦ができる:どちらか一方に寄せる必要がなくなり、媒体ごとの役割を分けたまま両方を伸ばせます

この帯の注意点

テストが速く回るということは、判断の回数も増えるということです。何を確認して次に進むかを決めていないと、動かした数だけ結果がばらつき、どの変更が効いたのか説明できなくなります。

月100万円帯|広告管理画面の外を見る段階に入る

この帯で見るもの

この規模になると、広告管理画面の中の数字だけでは判断できません。管理画面の外を見ます。

  • 顧客のLTV:獲得したお客様がその後どれだけ継続しているか
  • 実際に来店している方の住所:配信地域と、実際に足を運んでいる方の居住地が一致しているか
  • 来店者のペルソナ:想定した客層と、実際に来ている客層が一致しているか
  • ヒートマップ:LPのどこまで読まれ、どこで離脱しているか
  • GA4:広告以外の流入も含めた、サイト全体の動き

CPAが下がっているのに売上が伸びない、という状況はこの帯で起こります。安く獲れているお客様が単発で終わっていれば、CPAの改善は事業の改善になっていません。だからこそ、獲得コストではなくLTVを見ます。

この帯の注意点

ここに挙げた指標は、広告アカウントを開くだけでは揃いません。来店記録、顧客管理、アクセス解析の設定が必要です。計測の土台がないまま予算だけをこの規模にすると、判断材料がないまま大きな金額を動かすことになります。

予算帯ごとの比較まとめ

  • 月3万円:Google1媒体・地域絞り・指名+1KW集中。CV目安5〜12件、CPA2,500〜6,000円。A/Bテスト不可。
  • 月5万円:Google+Meta併用・役割分担・A/Bテスト1〜2本。CV目安10〜20件、CPA2,500〜5,000円。新媒体テスト不可。
  • 月10万円:本格スケール・新媒体テスト可能・PDCAが高速化。CV目安20〜40件以上。計測設計と運用体制が必須。
  • 月30万円:テストの結論が早く出る。Meta・Googleの多媒体に挑戦できる。ただし商圏のユーザーボリュームが上限になる。
  • 月100万円:管理画面の外を見る段階。LTV・来店者の住所・ペルソナ・ヒートマップ・GA4で判断する。計測の土台が前提。

※CV数・CPAの目安は八策クライアントの実績ベースです。業種・商圏・LP品質・オファー内容によって大きく変動します。自社の数字を当てはめる際は、現状のCVR・客単価・LTVと合わせて判断してください。

「まず何から始めるか」の判断基準

予算を決める前に確認してほしいことが3つあります。

  1. 1件の成約でいくら利益が出るか(LTV・粗利):CPA3,000円が高いか安いかは、1件あたりの利益が5,000円か50,000円かで全く変わります。
  2. 現状、LP・予約フォーム・電話導線は機能しているか:広告を出す前にLPを触らないと、広告費だけ増えてCVは増えないという状態が続きます。
  3. 計測(CV設定・アクセス解析)は正しく動いているか:計測が壊れたまま広告を回すと、改善の根拠がなくなります。

この3点が整っていれば、どの予算帯からスタートしても改善のサイクルが回せます。

なお、少額から始める場合は、予算を分散させないことが最初の分かれ目になります。配信地域や商品、キーワードを広げすぎると、判断に必要なデータが集まる前に予算が尽きるためです。

今の広告予算で、どこまで狙うべきか確認しませんか

広告予算は、多ければよいわけではありません。

月3万円、5万円、10万円以上では、選ぶ媒体、狙う地域、改善できる範囲が変わります。

八策マーケティングでは、現在の予算と商圏に合わせて、広告費をどこに使うべきかを確認します。

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よくある質問

広告費が少なくても相談できますか?

相談できます。ただし、広告費や商圏によって現実的にできることは変わります。最初に、今の予算で狙うべき範囲を整理することが重要です。

月3万円から広告を始める場合、どの媒体がよいですか?

業種や商圏によりますが、最初は媒体を広げすぎず、Google検索広告や指名・地域キーワードなど、意図が明確な流入から確認するケースが多いです。

広告費を増やす前に確認すべきことは何ですか?

LP、問い合わせ導線、コンバージョン計測、1件あたりの粗利やLTVを確認します。ここが見えないまま予算だけ増やすと、効果判断が難しくなります。

広告予算は売上の何%が目安ですか?

一律の比率では決められません。同じ売上でも、リピートの有無で1人のお客様から得られる利益が変わるためです。売上比ではなく、LTVベースの粗利から許容CPAを出し、必要なCV数を掛けて予算を出す順番をおすすめします。

予算を増やすと、広告の成果はリセットされますか?

予算を増やしたあとは配信量が変わるため、それまでと同じ成果が続くとは限りません。増やす前に、現状のCPAが許容範囲に収まっているか、表示回数に伸ばす余地があるかを確認してください。

この記事を書いた人

山田 拓巳 / 株式会社八策マーケティング 代表

広告運用、LP改善、計測設計、マーケティング戦略の立案を担当。石川・北陸の中小企業、店舗、地域サービス業を中心に、広告費を問い合わせと売上につなげる仕組みづくりを支援しています。

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